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 最近100年住宅という言葉をよく耳にするようになりました。100年あるいは200年も使用に耐える住宅を作ることが日本の「住宅政策」の正しいあり方だとする議論です。まさに正論であることに異論はないでしょう。
 
 100年住宅の技術的な側面からの検討は、このコラムでも何度か取り上げました。それは建物を躯体部分と附帯設備に分けて考え、水まわりを中心とした附帯設備のメンテナンスを容易にして、建物本体を100年~200年の利用に耐えるようにしようという設計思想です。加えて、時間の経過で変化する生活スタイルや居住者数に対応して、間取りの自由度を高めるという考え方です。
 
 今回は、住宅の資産性という側面から100年住宅を考えてみました。世界第2位の経済力を持ち、衣と食については十分に満たされている日本人が、なぜ豊かさを実感できない人々が多いのかという問題とも深く関わることです。
 
 野村総研のリチャード・クー氏もたびたび指摘していることですが、日本の住宅は資産としての価値を築後30年程度でゼロになってしまうことの問題点です。住宅資金(土地代1,000万+建物建築費2,000万)として3,000万円のローン借入をして、30年かけて元利合計で4,500万円の返済を終えた時30年後には、資産価値としては土地代1,500万円だけが残ることになることの問題提起です。
 
 簡単にいえば、4,500万円、30年の分割払いで1,500万円の買い物をしていることになるわけです。差額の3,000万円は30年分の住宅費(家賃)の支払いと考えることで計算は合うことになりますが…。せめて土地(1,500万円)、建物(1,500万円)合わせて3,000万円程度の資産価値が残れば、日本の家計資産額が概算で2,000万戸×1,500万円(資産価値の差額)=300兆円増えることになります。
 
この計算の前提条件としては、これからの30年のあいだに、100年~200年の耐久性のある住宅が2,000万戸新築されるということです。これは国家レベルでの経済戦略としてのテーマ・計画であり、目下の住宅事情や資産形成の問題解決になるわけではありません。今、すぐに対応できる個人レベルでの対応方としては、優良な中古住宅を取得し、しっかりとメンテナンスをすることで、50年後、100年後にも資産価値を維持することではないでしょうか。そのためには、建物だけでなく、地域の良好な環境が維持され、さらに良くなるような地域を選ぶことも肝要です。
 
 世界同時不況の見とおしは、良くて横ばい、さらに悪化すると予測するのが順当でしょう。雇用問題は悪化し、所得の伸びも期待できません。今は、背伸びをして、3,000万円近いローンを組んで新築物件を入手する時期ではないと考えています。
 
 年収の3倍~4倍で、優良中古物件をじっくりと探す時期です。幸い、市内では優良中古マンション、優良戸建住宅がこれからも次々と流通市場に出てくることはまちがいありません。当社も迅速な情報提供を通して皆様方の物件探しをお手伝いいたします。
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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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