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先週、TUF(テレビユー福島)の女性記者から電話がありました。福島県内の土地価格が放射線の影響を受けて、どの程度下落しているのかということについての問い合わせです。
 
 (社)福島県宅建業協会が、東京電力に対して39億円余りの補償金を請求したことに関連しての取材です。
 
 電話で約1時間のやりとりの後、翌日の午前、かなり重そうなテレビカメラを携えた女性記者が1人で訪ねてきました。
 
 テレビ局も人手不足のようで、カメラマン・照明係・取材記者の三役を1人でこなす時代になったようです。
 
 前の日の電話リハーサルで、テーマと論点はしぼられていましたので、カメラを回しての取材はスムーズに終わりました。
 
 テーマの一つは、放射線の影響で地価はどの程度下がったのかということでした。
 
 放射線量の高い場所では、まず、買う人はいません。今後、どの程度放射線量が低下するのか見通しもはっきりしません。
 
 福島の土地価格が、これからどうなるかは、実は、こちらが聞きたいぐらいです。
 
 不動産鑑定士の「感」でいえば、20%程度は下落しているのではないかと、とりあえず答えておきました。
 
 もう一つのテーマは、原発に近い場所から避難してきた人達が、5年~10年は地元に戻れないとなると、福島市や郡山市で仕事と住宅を探し、中通り地区に定住するのではないかということについてでした。
 
 たしかに、東電からまとまった補償金が支払われれば、この際、福島市に定住しようという人も多くなりそうです。
 
 1,000万円~1,500万円の中古住宅を手持ち資金で購入し、できれば、仕事も福島周辺で探したいという動きです。
 
 これは、福島市や周辺の土地や中古住宅の価格を押し上げる要因となります。
 
 今後、福島市や周辺地域の土地価格は上がる場所と下がる場所(放射線量の高い地域)に二極化するのではないでしょうか。
 
 当社では、放射線測定器を購入し、賃貸の場合でも売買の場合でも、建物の内外の放射線量をしっかりと測っております。
 
 お客様も、自分の目でしっかりと確かめてから話を進める方が多くなっています。
 
 仲介業者の役割・責任が一段と重くなる時代になったとつくづく感じます。
 
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不動産を売買する場合、金額も高額であり、売り主も買い主も一生に一度というケースが多いので、契約は文書で取り交わし、細かい点まで契約書には書き込むことになっています。
 
しかし、文書を交わしただけではただの約束であり、不安が残ります。売り主も買い主も、途中で気が変わったり、特別な事情が生じたりする場合があるからです。
 
約束したこと(契約内容)をしっかりと守りますという意味を込めて、「手付け金」を買い主から売り主へ契約時に支払うわけです。
 
手付け金は売買代金の1割から2割程度のケースが大部分です。
 
買い主は、途中で気が変わったり、他にもっと良い物件が見つかったような場合、手付け金を放棄すれば、契約を解除することができます。
 
売り主の側が気が変わったり、他にもっと高く買ってくれる人を見つけた場合、手付け金の倍額を買い主に返せば、契約は解除できます。このことを業界用語で「手付け倍返し」というわけです。
 
3年ほ度前です。蓬莱団地に住む人から相談を受けました。今住んでいる場所から近いし、価格も安いと思ったので、1,200万円の物件に50万円の手付金を払って、売買契約を結んだが、10日後に、手付け金を返して契約を解除するとの通知を受けたとのことです。
 
よくよく話を聞いてみると、1,500万円で買う人が出てきたので、手付け倍返しで100万円を返しても(実質50万円の持ち出し)、300万円高く売る方が得だとの事情があったようです。
 
相談に来た方は、気に入った物件だったので大変残念がっていました。
 
この事情から分かることは、安いと思った物件、気に入った物件は、少々無理をしても、手付け金を2割ぐらいまで支払った方が安心だということです。
 
売り主も、2割の手付け金を受け取れば、浮気をしないはずです。
 
買い主も、万一、解約になっても2割もの金額がただ同然で手にはいるのですから、損な話ではありません。
 
「手付け金」については、思い出すのもつらい憶い出があります。
 
英国留学から戻り、福島で教職を得たKさんが旧市内の土地を奥様の名義で購入しました。
 
神戸に住む父親が、娘さんのために土地代金を支払い、夫であるKさんが家を建てるプランでした。
 
当社とは20年来の付き合いのある開発分譲業者の分譲地で、価格は2,500万円、手付け金は250万円で、当社が仲介をしました。
 
ところが、残金決済・引き渡しを目前にして、Kさんが急死したのです。
 
Kさんの急死を知って、売り主である分譲業者をすぐに訪ねました。
 
法律的には、契約は有効であり、亡くなったKさんの奥様が、契約書通りに、売買契約を進めるか、手付け金を放棄して解除するかのいずれかになるわけです。
 
しかし、開発・分譲業者(株式会社ベルウッド)の鈴木社長は立派でした。
「手付け金は全額返済します」、「契約はなかったことにします」と即座に決めました。
 
 こんな時、売り主や不動産仲介業者がどんな対応をすれば良いのか、どんな対応をする人や会社が多いのかは、今でもわかりません。
 
 多分、同じように手付け金は全額返し、淡々と契約解除に応じる会社が多いと信じたいです。
 
 少なくとも、(株)ベルウッドの鈴木社長と私は、人間として恥ずかしくない対応ができたと誇りに思っています。
 
 丁度3年前の、梅雨時のつらい憶い出です。
福島商工会議所の会報誌「ふくしま」7月号に「5年後、10年後の不動産マーケット」というテーマで不動産コラムを書きました。
 
商工会議所様のご了解を得て、転載いたします。ご笑覧下さい。
 
 
       「5年後、10年後の不動産マーケット」
                             不動産鑑定士 高橋雄三
 
 経済の先行きは、不透明な時代が続いています。平成に入って間もなく、土地価格は下落を始め、福島市では20年間下がり続けています。いつになったら、底値が見え、上昇に転ずるのでしょうか。
 
25年前、福島駅東口の一等地に立地するビルの再開発のお手伝いをしました。その頃、駅前は1,000万円/坪でした。今は100万円/坪弱です。
地価も株価も10分の1まで下げると底値だと言われます。福島の商業地は、ほぼ底値に近い感じです。住宅地は、高値の時に較べて半値程度でしょうか。「底値10分の1」論からするとまだ下がりそうです。
 
仕事柄、土地はいつから、どんなきっかけで上昇に転ずるかと質問されることが多々あります。株でも土地でも、いつから、どのくらい上がるか分かれば、誰でも大金持ちになれます。所詮無理な注文です。
    
しかし、地価を予測する手がかりはあります。主な手がかりは、経済の見通し、人口の増減予測、地域活性化との関連です。経済の先行きについては、悲観論、楽観論、まあまあ論と様々ですが、この20年来、楽観論は当たった試しがありません。極端な悲観論者ではありませんが、GDPの2倍に達する国債発行額が、財政破綻をもたらし、インフレに結びつくというシナリオは否定できません。一般論としては、土地や株式はインフレヘッジ商品として有効だとされています。現に、当面の利益獲得(インカムゲイン)と将来のインフレヘッジ(キャピタルゲイン)として収益不動産(アパート・マンション・オフィスビル)を買う動きは水面下でかなりあるようです。
 
福島市の人口はジリジリと減少すると見るのが正解でしょう。県全体の人口が減る中で福島の人口だけが増えるとは考えにくいからです。地域の活性化予測、ビジネスチャンスの多い地域の見つけ方は一番の難問です。しかし、国の経済が弱体化し、福島市の人口が減少しても、地域や業種によっては、そのことをビジネスチャンスととらえて、新しいビジネスや活気のある地域・店舗・企業が生まれてくるのがこの世の面白いところではないでしょうか。住宅産業、特に中古住宅流通の活性化が、日本経済再生のカギを握っていると言われます。内需振興の柱として期待されているからです。消費税10%が現実になれば、消費税のない中古住宅の個人間取引に、強い追い風になるでしょう。
 
福島に住んで40年余りになりますが、年々この町が好きになってきます。適度に距離を保った人間関係、自然の美しさと恵みの多さ、教育・医療水準の高さ、すべて満点に近い満足感です。これからの方向としては、子育て支援と老後も安心して住める街づくりを進めることで、福島盆地の魅力を一層高めることができます。都市間競争に勝つカギは、都市としての魅力、住む人にとっての満足感をどれだけ強くするかです。日本一、地震リスクの小さい都市だということはもっとPRすべきでしょう。
 
5年後、10年後の福島の土地価格を決めるのは、どれだけ多くの人に、日本中の各地に住む人々に福島の魅力をアピールできるかで決まるのではないでしょうか。
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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
自己紹介:

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