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 土地や建物の売買をお世話する仲介業者に対する世間の目には厳しいものがあります。
 
 特に中古住宅の取引の場合、売り主(持ち主)は建物の良いところも、悪い面もよーく分かっているわけです。
 
 買い希望者は、はたして本当に良い物件なのか、値段は適正なのか、大いに迷うわけです。
 
 こんな場合、間に入った仲介業者はどう対応すれば良いのでしょうか。
 
 土地が毎年値上がりする時代、売り手市場だった頃ならば、少々問題のある物件でも、何年かすれば、物件のキズは価値が癒やしてくれました。しかし、買い主の心のキズは癒やせません。永く残ります。
 
 そんな時代が永く続いた後、不動産価格の下落の時代が始まりました。時代は、買い手主導、買い手市場に根本から変わったのです。
 
 加えて、インターネットで調べれば、どの仲介業者がお客様本位で良心的な仕事をする業者であるかが分かる時代になったのです。
 
 物件選びだけでなく、業者選びもインターネット・ホームページは可能にしました。
 
 ブログやコラムを通して、経営者やスタッフが積極的に企業理念や仕事に対する姿勢をお客様に伝えることが可能になったし、お客様もある程度の時間をかければ見分けることができるようになったのです。
 
 従来の、仲介業者に対するマイナスイメージを解消し、本当の良い仕事をする業者か否かをお客様に見分けてもらうことができるようになったという意味では新しい時代が始まったわけです。
 
 中古住宅は玉石混淆、仲介業者もピンからキリまでの時代を早く終わらせ、お客様が安心して中古物件を売ったり、買ったりできるようにするのが仲介業者の仕事のはずです。
 
 逆選択=お客様の業者離れ、業者見限りをいち早く対応し、お客様に選んでいただける仲介業者になることが、今、求められているのではないでしょうか。
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 不動産に係る仕事を40年近くやってきましたが、ポケット・リスティングという言葉を初めて知りました。
 
 もちろん英語です。米国の不動産業界では、売り主から依頼された業者は、物件情報をMLS(Multi Listing Service)という業界内の公開欄(リスト)に掲載することを義務づけられています。
 
 この義務に違反すると、最初は罰金、度重なると免許取り上げになるそうです。
 
 マルチ(Multi)=大多数の、リスティング(Listing)=物件情報リスト、サービス(Service)=提供する、ことが業界にとっても、一般市民にとっても利益になるという考え方です。
 
 米国の不動産仲介業界も決して善人ばかりで成り立っているわけではないようです。
 
 売り主から売却を依頼された物件の情報をポケットに仕舞い込んで、オープンにしない行為をポケット・リスティングと表現するようです。(つい最近初めて知りました。)
 
 ポケットに入れた物件情報を自社あるいは自分のお客様だけに提供し、手数料を2倍稼ごうという魂胆からです。
 
 米国では、大部分の州で両手数料(売り主と買い主の両方を同じ会社が仲介すること)を禁じています。両手数料が禁止となれば、物件情報をポケットに入れる(情報を囲い込む)必要もメリットも無くなるわけですから、今ではポケット・リスティングという言葉も死語になっているようです。
 
 残念ながら、わが国では、ポケット・リスティング(物件情報の囲い込み)は、まだまだ盛んに行われています。
 
 特に大手業者は、日常的に行っているようです。レインズ(日本の物件情報公開システム)には一応載せるわけですが、他の業者が問い合わせをすると、「商談中」とか「申込中」とかいって、紹介(仲介)を断るわけです。
 
 同じ物件を買い希望のお客様が問い合わせをすると、もみ手をしながら、「今すぐご案内します」などと対応するようです。
 
 結果として、売り主にとっても、買い主にとっても利益にならず、あわよくば自社だけが2倍の手数料を稼ごうという姿勢の仲介業者に未来があるとは思えません。
 
 
 わが国では、「弁証法」というと、一部の左翼学派やマルクス主義哲学の独占物のように受けとめられがちですが、大きなマチガイです。
 
 ドイツの哲学者ヘーゲルによってほぼ完成された弁証法的考え方は、今や世界の最先端のビジネスマンや自然科学の研究者の手法としても活用されています。
 
 人間の世界、世の中を、「対立物の統一」として大きくとらえ、世の中の進歩・発展を「螺旋的発展」と規定する考え方(哲学)が「弁証法」です。
 
 対立物の統一とは、資本主義の世の中にあっては、資本家と労働者はお互いに「対立」する立場にありながら、反面、相手の存在がなければ、世の中に存在できないような関係を指す考え方です。
 
 自然界にこの法則をあてはめれば、磁石のN極とS極のような関係であり、「化学」の世界でいえば、正の電荷を持つ陽イオンと負の電荷を持つ陰イオンの関係です。
 
 この考え方を不動産仲介業にあてはめるとどうなるでしょうか。
 
 売り主の立場・事情について考えてみます。
 
 30年前に、3人の子供を伸び伸びと育てるために郊外に戸建住宅を買いました。今では、子供達も独立し、5DKの住居に住むのは夫婦2人だけです。
 
 ローンの支払いも終わり、夫は退職しました。日常の買い物や病院通いのことを考えると郊外の生活は何かと不便です。5DKの家は広すぎて掃除も大変です。
 
 市の中心部に築10年の3DKのマンションが1,200万円で売りに出ているのをインターネットで見つけました。
 
 考えてみれば、子供達は独立して、福島に戻る予定はありません。これから先、庭の手入れも大変になりそうです。
 
 学生時代の下宿暮らしから始まって、結婚してのアパート暮らし、子育てのために「広さ」を求めて郊外に戸建住宅を買い、老後は利便性の高い中心部のマンションに住む。
 
 この生活変化を「弁証法」的に解釈すれば、両親の家族として生を受け、親と世の中の庇護の下で教育を受けて、独り立ちし、結婚して次の世代の受け手(子供)を育てるという、世の中の循環・発展の一端を担っているということになるわけです。
 
 つまり、住宅のマーケット・住宅流通の世界に、アパートの借り主として第一歩を踏み出し、郊外住宅の売り手であり、中心部マンションの買い手として三たび住宅流通市場に登場しようということです。
 
 対立物の統一(相互浸透)とういう考え方から見ると、売り手が存在するから買い手も現れるのであり、その逆も成り立つわけです。お互いに価格その他で利害は鋭く対立する立場にありながら、その存在が前提となるという意味で文字通り「対立物の統一」の関係なわけです。
 
 そこで、考えました。主として価格をめぐって鋭く対立する(そうでないケースも少なくありませんが)立場にある売り主と買い主の間に入る仲介業者の役割は何なのでしょうか。
 
 弁証法の立場で見た時、不動産仲介業はどう解釈できるのでしょうか?
 
 弁証法の考え方に止揚(アウフヘーベン)という思考法があります。対立・矛盾はより高次元なものへと展開することで止揚されるという哲学的論証です。(難しすぎて理解できなくとも全く問題なしです。念のため)
 
 買い主の立場に立った際の仲介業者の例で説明します。
 
 ある物件を買いたいと思っているお客様の、本心、ニーズ、考え方、生き方を十分に聞き知ることが仲介業者の仕事です。
 
 しかし、物件の価格をめぐっては、売り主側とは対立関係にあるわけです。この対立を解決(止揚)するのは通常はマーケットです。
 
 不動産の場合、厳密な意味での市場・マーケットはありません。相対取引であり、仲介業者が市場の代役をするわけです。
 
 不動産という超高額商品の取引に際して、利害対立する売り主と買い主の間に入って、双方の利害・言い分を十分に聞き、双方を納得・満足させる役割を果たすことが、不動産仲介業を弁証法という高度な哲学的考察から見た位置づけであることが分かりました。
 
 生煮えの論考をご笑覧下さい。
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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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