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江戸時代の商家・商人が残した「経世訓」や「家訓」には、現代にも通ずるビジネスの基本を教えたものが少なくないようです。
 
300年前の長崎に住んでいた西川如見という学者が書いた「町人袋」の中に、不動産仲介業の「現代的課題」にも通ずる記述を見つけましたのでご紹介します。
 
「商人は蟻のごとく食料を蓄え、身を養うことに努むべし」
「蜘蛛(くも)のごとく網を張り、待つのみにて、命をうばいて食するのたぐいあるべからず」
とあります。
 
さらに続けて、「蟻は義ある虫なり。ゆえに虫の偏に義の文字をそえたり。終日(ひねもす)往来して食料を求め、穴の中に蓄えおきて冬の用意となす。おのれが得たる食料なりとて、おのれ一人の食とせず、穴に住める仲間と共に分かち合いて食す」
とあります。
 
これを現在の不動産仲介業に置き換えてみると、次のようになるのではないでしょうか。
 
不動産仲介業者は「道義」、「信義」に基づいた仕事をしなければなりません。朝から晩まで、物件情報の収集に努め、物件のメリットやデメリットをしっかりと調査し、パソコンの中にデータベースとして蓄積して、仕事に役立てるようなビジネスモデルを作りなさい。
 
自社が収集した物件情報は、自社だけで囲い込みをしないで、同業者にも公開して早く、広く、お客さまに届くようにすることが大切です。それが、お客さまに役立つ仕事をするということなのです。
 
世の中に役立つ、同業者の仕事にもプラスになる、それが商人としてのあり方であり、商売繁盛の基本なのですよ……、と解釈できます。
 
続けて「町人袋」には次のように綴られています。
 
「蜘蛛は知謀ありて、虫の命を奪う。これゆえに虫の偏に知をつけた蜘(はかる)の字と、虫の偏に朱つけた蛛(ころす)の字を用いたり。謀(はかりごと)をもって貪欲非義の網を張り、からむを待つ」
とあります。
 
これも、旧き、悪しきタイプの不動産仲介業者の仕事ぶりとイメージが重なって見えるのは、私の偏見でしょうか。
 
25年程前、不動産バブルの真っ最中の頃です。福島盆地でも大波地区や小田・平石地区などの都市計画区域以外の山林・原野を「宅地造成」して、大々的な宣伝で売り出した不動産業者がいました。
 
不動産鑑定士として、「悪徳業者」の手口を現地で勉強するのも必要な修業だと思い、総ての「特別分譲宅地」を訪れました。
 
現地の4~5㎞手前から、「特別分譲地」の立て看板や「のぼり」が道路沿いに立ち並びます。
 
「特別分譲地」には県外ナンバーの車が2~3台駐車していました。仮設テントが設けられ、派手なのぼり旗に囲まれた20区画程度の「分譲地」です。
 
都市計画区域外の分譲宅地や別荘地を見る場合、飲料水・水道が確保されているか否かがポイントです。大部分の「特別分譲地」には実際には水道はありませんでした。
 
4~5人の屈強な現地販売員となるべく係わらないようにして、水源・電気・区画割り・価格などのポイントを調べて、早めに退散するように心がけていたことが憶い出されます。
 
原野商法・「特別分譲地」商法・「おとり商法」・「煽り商法」と不動産仲介業には「蜘蛛の巣」商法に似た商法が過去にはありました。
 
「おとり」商法や「煽り」商法は、今でも一部に根強く残っているようです。ホームページに「おとり」の役目を課す「優良物件」を載せ、来店したお客さまに、その物件は、つい先刻決まりました。他にも色々と物件はありますよ……、といった手口です。
 
賃貸仲介では、いまでも「有効」な手段だとされているようです。売却済みとなった物件や、入居者が決まってしまった部屋を、そのままホームページに載せておくことは、お客さまにとっては「おとり」物件と何ら違いがありません。
 
ホームページ中心に切り替えて早や3年になりますが、決まってしまった物件の削除と新規物件の早期掲載は言うは易く、行うは難しい課題でもあります。
 
しかし、ホームページ中心の不動産仲介業・ネット不動産にとっては、基本中の基本、生命線なわけですから、これからも、最優先で取り組むことは当たり前なことです。
 
毒蜘蛛のように獲物の通りそうな場所に網を張り、獲物(お客さま)が網にかかるのを待つ業態でなく、蟻のようにせっせと物件情報を集め、自社の物件情報データベースを充実させ、お客さまの問い合わせや、来店に常に万全の体制で備える。そんなビジネスモデルをインターネットとITは可能にしたのです。
 
これからの仲介業は、蟻(アーント)をお手本とすべき時代になったようです。
 
当社の不動産事業部もアーント(蟻)仲介部を目ざして一層努力します。


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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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