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 不動産の鑑定評価の仕事に従事して40年近くになります。
 
 土地や建物の「目きき」と「値ぶみ」が主な仕事ですが、長い目で見た場合、土地の値段はどのようにして決まるのか、永いあいだ考えてきました。
 
 日本列島に人類が住み始めたころは、土地に値段は付かなかったことは確かでしょう。
 
狩猟や木の実の採集、魚や貝の採集が主要な生活手段であった縄文時代に土地に値段は付いたのでしょうか。
 
猪や鹿の多く集まる「水場」は人が生活するにも好都合な場所ですし、狩猟にも最適です。魚や貝類の多く採れる川辺や浜辺も食糧確保に欠くことのできない場所だったに違いありません。
 
こんな場所(土地)は「縄張り」として、自らの集団の影響下に置きたかったのではないでしょうか。
 
今でいうところの「入会権」「漁業権」といった程度の権利・価値であり、当時は値段は付かなかったのではないでしょうか。
 
縄文時代が終わり、農耕生活が中心の弥生時代になると、人々は農地の周辺に定住するようになったと考えられています。
 
稲作中心の農耕文化は、土地の生産性を飛躍的に高め、食料の備蓄を可能にしたことを、考古学は教えてくれます。
 
土地に人間の手が加えられ、その土地の生産力が他の土地に較べて高まったことが、土地に値段が付くようになった原始的な理由と考えるのは自然なことです。
 
耕地の周りに住みついた人々は、水利や種蒔き、収穫で共同作業を行うことをおぼえ、農具の改良もあって、一層生産性は高まったに違いありません。
 
狩猟や農業で余った収穫物は他の人々や地域の収穫物と交換されるようになるのも自然の流れです。市場の原始的形態とでも云うのでしょうか。
 
市場が開かれるのに適した土地は、売上高でその値段が決まる商業地として、やがて発展したものと考えられます。
 
つまり、土地に値段が付く根源的な理由は、その土地を利用して広い意味での経済活動が行われることにあるわけです。
 
経済活動が活発に行われ、収益を上げることが土地価格発生の理由であると同時に、土地価格決定の最大の要因です。
 
ある国の土地価格が安いのか高いのかを比較する場合、その国の土地価格の総額がGDPの何倍になっているかを検討することが重要な指標になります。
 
ちなみに、わが国の現在の地価総額は、1,000兆円前後ですからGDPの約2.1倍となります。バブルのピーク時は5.5倍でしたから、日本の土地価格はこの20年で半値以下になったことになります。
 
米国の土地価格は2007年にGDPの1.5倍程度でしたが、現在は1.2倍程度に下落しています。英国やEUの地価総額も1.2倍程度です。
 
この考え方が正しいとすれば、わが国の土地価格は、この10年ぐらいでさらに半値まで下がることになります。恐ろしいことですが、目を閉じたからといって、何事も解決しません。
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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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