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 10年後の福島市の姿を不動産を中心に予測してみました。

 

 まず人口予測です。

 

 国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2025年の福島市の人口は26万人台まで減少します。

 

 これは原発事故前の予測なので、被災者の定住や復興・除染関連の人口増を考慮すると、若干、上振れの可能性もありそうです。

 

 人口減の影響は経済活動全般に及びますが、新築戸数の減少や空家・空室の増加として顕在化します。

 

 地価の下落傾向も続くとみるのが正解でしょう。

 

 市の税収も増加は見込めませんから、コンパクトな財政とコンパクトな街づくり・都市づくりの傾向は一層加速することはまちがいありません。

 

 将来予測をする場合、最良のシナリオ、最悪のシナリオ、中間のシナリオを想定し、その裏づけとなる理由・原因について分析する手法(シナリオ・プランニング)が有効だとされています。

 

1)最良のシナリオ

 

 ピーク時に、約1万5,000人と推定された福島市内の仮設住宅や借り上げ住宅に住んでいた被災者の大半が、福島の住環境の良さに魅せられて、市内に土地求め住宅を建設して住むことになる。

 

 特に、65歳以上の高齢者の大部分は、医療施設や高齢者ホーム等の介護施設の整った福島市を第二の郷里と決め定住を決意する。

 

 その結果、福島市の高齢化率は高まるが、行政も高齢化時代の対応策をよく研究し、行政主導型で、元気な高齢者の活躍の場を創り出す。

 

 行政が主体となって、働く高齢者、地域活動や社会活動に参加する高齢者に時給500円に相当するポイントを附与するシステムを全国に先がけて実施することで、市内の高齢者が「元気印」になるだけでなく、全国から「元気印」の高齢者が「働く場」や「生きがい」を求めて続々と集まってくる。

 

 福島市が来るべき超高齢化社会の世界的なモデル都市となり、国内だけでなく、アジア諸国からも見学者・体験希望者・参加希望者が年間20,000人以上も来福するようになる。

 

 そのなかの5%=1,000人が福島市内への移住を決め、毎年1,000人の人口の社会増が実現する。

 

 その結果、全国の地価は下落傾向が続くなかで、福島市の中心部の土地価格は毎年2%upの状況が続き、周辺部の地価も横ばいという全国的にも珍しい県庁所在地となる。

 

 (2)最悪のシナリオ

 

 アベノミクスの失速が表面化し、政治の混乱・混迷が続く。

 

 地方主権を唱える政治潮流が勢いを増し、わが国でも道州制が実施される。

 

県や州の役割や権限は小さくなるが、それを機会に、県庁を福島県の地理的な中心部である郡山に移すという運動も活発化し、ついに、県庁は郡山市に移転することになる。

 

その結果、県庁(本庁)に勤務していた職員と家族・関係者合わせて5,000人程度の人口減となる。

 

福島市と周辺部は活気が失せ、夜の街も灯が消えたようになる。

 

市内には空家や空室が目だち、中心部の地価は毎年3%程度の下落が続く。

 

行政も方向性を失い、オロオロするばかりで、活路を見いだせないままに、時が経過する。

 

3)中間のシナリオ

 

行政当局は、少子高齢化社会への対応策として、子育て支援策に重点を置き、保育所の整備・中学生以下の医療費無償化・学童保育施設の大幅充実などの施策に積極的に取り組む。

 

しかし、これらの施策は、全国の自治体が力を注いでいることであり、特に目立った効果は見られない。

 

東北中央道は、米沢・福島・相馬間が開通し、三都市の連携は強まるが、「企業誘致」「工場立地」効果はない。

 

時代が、経済成長主導型から、熟成経済・低成長へと大きく変化してしまったからです。

 

経営主体のダイエーがイオンに吸収され、去就が注目されていた駅前のNデパートがついに閉店。跡地利用がなかなか決まらず、関係者の気をもませていましたが、3年目にして、やっと、高齢者ホーム併設型の保健・医療施設として民間主導で再生される。

 

市内の空室率は20%に達し、住宅新築は激減する。土地価格は毎年2%程度下落し、人口も26万人台の前半まで減少する。

 

唯一、救いとなる現象は、健康で知的水準の比較的高い高齢者が中心となって、福島の魅力を発掘し、育て上げ、全国に発信することで、全国の高齢者の注目を集めるようになり、「高齢者天国」を目ざすという街づくりのコンセプトが出来たこと。

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プロフィール
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高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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