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 原発事故から、今日で5年2ヶ月になります。10万人に近い被災者の方々が、いまだに避難生活を余儀なくされています。

 

 多くの人々は、いつになったら帰還できるか、生活を再建できるのか、確かな見通しも立たないまま、将来についての不安を胸の奥に仕舞い込んで、耐えています。

 

 福島県内を主として、40年近く仕事をしてきた1人の不動産鑑定士として、被災者・被害者の心や立場に少しでも近づけるように心がけて仕事をしてきたつもりです。

 

 加害者である東京電力は、「財物賠償基準」を決め、その基準が正しいという前提で、不動産の賠償金の支払いを行ってきました。

 

たしかに、誰も想定していなかった(原発の危険性について警鐘乱打していた人もいたのですが・・・)、特に東京電力の関係者は夢想だにしていなかったでしょうから、原発事故の賠償にどう対応するかということについては、全く「想定外」だっただろうという事情は理解できなくはありません。

 

しかし、現実に原発事故は発生し、人や物、地域に対して重大な損害を与えたのですから、東京電力は本気で反省し、胆をすえて対応すべきですが、どうも「反省」が足りないようです。

 

「財物賠償基準」も加害者側の事情や都合が優先され、被害者・被災者の立場や心は、後回しにされていると強く感じています。

 

原発事故発生後、多くの被災者の方々から、主として不動産の評価に関連する相談を受けてきました。

 

相談を受け、現地調査をして、 鑑定評価書をまとめるなかで、東京電力の「財物賠償基準」に多くの問題点や矛盾点が存在することが分かりました。

 

その具体的な問題点は(http://www3.plala.or.jp/kantei/seminasodan.pdf) をご覧いただくとして、新聞やテレビ等のマスメディアは問題が多くあることは知っていながら(?)報道しようとしません。

 

マスメディアだけでなく、行政当局も、東電の賠償基準に問題点が多いことに関わりたくないという姿勢が強いと感じています。

 

少なからぬ被災者の方々は、納得できないけれど、他にどうすれば良いか分からないので、東電の「賠償基準」で賠償金の支払いを受けています。

 

一度合意して支払いを受けたとしても、やはり納得できない被災者は、ADRに申し立てをして、適正な評価に基づく、正当な賠償を受け取る権利は残されており、そのためにADRが存在するのだということを、なぜか、メディアや行政当局は積極的に被災者に伝えようとしていません。

 

福島県庁内の「県政記者会」と「社会記者会」各16社に「不動産評価に関する賠償基準の問題点」をまとめた文書(プレスリリース)を配布し、各地に避難している被災者の方々に伝わるよう協力を依頼しましたが、全く採り上げてくれません。

 

地元誌である「政経東北」の5月号がようやく『不動産鑑定士が指摘する「財物賠償の問題点」―――合意済みでもADRで“適正評価”は可能―――』として2ページにわたる記事として報道していただきました。

 

ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)は、被災者がどうしても納得できないことを、公正に解決することを目的にして設立された国の機関です。

 

今こそ、ADRの出番であり、もっともっと活用されることが期待されているわけです。

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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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