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世間一般でも、マーケティングの世界でも、ニーズ(Needs)とウオンツ(Wants)はかなり曖昧に使われています。しかも、時代の変化・生活の変化・消費者志向の変化に伴い、ニーズやウオンツもまた変化しています。
 
ニーズ(N)とウオンツ(W)の違いとその変化を切り口にして、不動産仲介業のあり方と未来について考えてみました。
 
N(ニーズ)   W(ウオンツ)
○顕在欲求 ○潜在欲求
○具体的欲求 ○抽象的欲求
○低次の欲求 ○高次の欲求
○無いと困る ○我慢できる
○基本的価値  ○付加価値
○意識された必要性 ○意識されていない欲求
○原始的(動物的)欲求 ○人間としての(高次な)欲求
 
この20年、わが国は物質的には成熟社会になってきました。
 
モノが不足していた時代には、ニーズは誰の目にも見えていたわけで、「作れば売れる」「並べておけば売れる」よき時代だったわけです。
 
ところが、モノが溢れている時代、必要なモノは何でもある時代、つまり成熟社会にあっては、お客様のニーズ・ウオンツは溢れたモノ・商品に埋もれて、見えなくなってしまいました。
 
住宅・不動産業界も例外ではありません。
わが国は、今や住宅過剰の時代に入っています。2012年には世帯数が5,000万余りであるのに対して、住宅戸数は5,750万戸となっており、750万戸(13%)の空家が存在しています。
 
つまり、住宅の絶対量が不足していた時代はとっくの昔に終わったということです。
 
しかし、成熟化社会・物質的には豊かな社会にあって、住宅だけは質の面で満たされないものが多い分野であることも確かです。
 
成熟社会・豊かな社会がいかに進んでも、人々が住宅に求めるものは、第一に安全・安心・立地・環境といった、基本性能(ニーズ)であり、これは、住宅選びの「必要条件」だといえます。
 
この必要条件を満たした上で、個人的な価値観・感性・満足感にフィットする付加価値(ウオンツ)を加えたものが、「必要十分条件」(ニーズもウオンツも満足させる)を満たす住宅となるのではないでしょうか。
 
○ニーズとウオンツの両面を満足させる住宅とは何か?
○二つの面を満足させるために不動産仲介業が提供できるサービス・情報は何か?
○そのために仲介業者のHPはどんな役割が果たせるのか?
 
インターネットとホームページを活用したネット不動産仲介業者は日夜悩んでいるわけです。
 
実は、悩んでいるのは仲介業者や業界の人間だけではありません。一生一度の高額商品である「住宅」を探し求めているお客様も悩み、迷っているのではないでしょうか。
 
地盤はどうか、建物の基本構造・性能は大丈夫か、防犯・防災面の安全性はどうか、街としての将来性はどうか、……悩みはつきないわけです。
 
これらの、いわば、基本性能(ニーズ)に関する悩みごとに優先順位をつけ、できれば付加価値(ウオンツ)も満足させる物件探しのお手伝いが仲介業者の仕事(サービス)の本質なのではないでしょうか。
 
これからの不動産仲介業は、その専門性・専門能力を生かしたコンサルティングに力を入れるべきだといわれることも、このような背景・時代の変化を理解すると納得ができます。
 
以上は、3年前から書き続けている「ネット不動産フロンティアノート番外編」NO.2『ニーズとウオンツの違いから、不動産仲介業を考える』の要約です。
 
詳しくは(http://www.takakan.co.jp/netfudosan/frontier55.html)をご覧下さい。
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プロフィール
HN:
高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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