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9月22日付の朝日新聞の社会面に、原野商法の第二次被害についての記事が載っていました。
60年代に「リゾート開発計画がある」「新幹線が通る」「空港予定地になった」などと架空の作り話で消費者をだまし、山林・原野などを時価の数十倍から数百倍で売りつけた「サギ話」が盛んでした。
当時の原野商法の被害者(大部分は相続人などの関係者)に対して、土地を買い取りたい・・・、転売してあげる・・・、とかの話をもちかけ、測量費用等の名目で数十万円の金員をダマシとる新たな手口についての記事でした。
50年ほど前でしょうか。不動産鑑定士の修業中の時代に、知り合いの男性から、北海道の原野を格安で分譲するので、現地を見に行かないか・・・との誘いを受けたことがあります。
往復の航空券は無料提供するし、定山渓の温泉に無料で2泊できる・・・という美味しい話でした。
原野商法ということは分かっていましたが、具体的にどんな手口・・・なのかを知るためにも・・・・、行ってみようかな・・・とも思いましたが、結局は止めました。
その後、福島県を中心に鑑定評価の仕事をするなかで・・・、原野商法・スレスレ・マガイ・・・商法を何件か体験しました。
スケールの大きな順から紹介すると、福島空港を、二本松・本宮両市にまたがる阿武隈山系に移転することになった・・・というサギ話です。
須賀川市にある福島空港は気象条件が悪く、自衛隊方面からの強い要望で二本松・本宮地区に移転する「計画」が「極秘」で進められている・・・。今すぐに、移転予定地の山林を購入し、「建物」を建てておけば、数年後には移転補償費が数千万円になる・・・といったレッキとしたサギ話です。
私の知り合いの男性も、まんまと引っかかりました。事前に相談してもらえば、中止させたのですが、購入後20年も経ってからの相談でしたので手の打ちようもありませんでした。
「幻の予定地」を近くまで仕事で行ったついでに「現地調査」しました。確かに2~30棟の建物らしきものが存在していたし、中には井戸を掘り、実際に生活している家も数軒ありました。
慾につられ、モウケ話に乗せられ、当事者は今でも半信半疑なのかもしれません。
固定資産税は、宅地並みに払っている・・・らしいです。
次は飯坂の大作山(オオサクヤマ)の開発計画関連です。
リゾートブームが盛んだった頃、大作山を一大リゾート基地にするという「計画」がありました。南側を流れる「小川」の上空にケーブルカーを渡し、南側の果樹地帯を結ぶという「壮大な開発計画」です。
南側の果樹園を開発予定地として担保目的で「高く評価」して欲しいとの依頼です。
現地調査もし、着手金も預かりましたが、丁重にお断りしました。
小さな宅地分譲がらみの「原野商法」は、福島盆地の周辺部にはゴロゴロありました。
都市計画区域外の傾斜の緩やかな山林・原野をブルドーザーでヒナ段状に造成し、「格安宅地大売り出し」などといったノボリを林立させて分譲する手口です。
宅地として利用するためには、水の確保が最低限の条件ですが、分譲地の一角にポンプ小屋らしきものを建て、敷地の一部に配管して、見学者が現れた時には、実際に水を流してみせるという、典型的なサギ商法です。
仕事がら、何個所を実際に「見学」しましたが、山中の淋しい場所で、人相の良からぬ数人の男たちに囲まれて、怖い思いをしました。
実際に契約・引き渡しまで進むケースは希で、その場で「申込金」とか「手付金」として5万円~10万円を巻き上げる手口だったようです。
土地は必ず値上がりするといった「土地神話」が生きていた時代のオトギ話です。