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進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンは「生き残るのは最強の種ではない。最も高い知能を有している種でもない。最も敏感に変化に反応する種である」という考えを示したといわれています。
ここで言う「種」とは種(タネ)という意味ではなく、生物学・博物学上の分類・種類をさす言葉です。
不動産鑑定士として、三つの会社「(株)高橋不動産鑑定事務所、(株)東北環境技術、(有)インターナショナル・コミュニケーションズ」の経営者として、ビジネスのありかた、企業の競争力、生き残り策・・・、について40年近く考え続けてきました。
ダーウィンの生き残りの条件についても、それなりに考えてきたつもりです。
今年に入って、世界経済はもとより、日本経済の先行きも、不透明感が増しています。もっとはっきり言えば、この先どうなるかが全く分からないということです。
分からない問題・課題に対応することの基本は、原理・原則・原点・古典に立ち戻って考えることです。
「山よりでっかい獅子は出ぬ」と腹を据えて対応するのも一つの策かもしれませんが、胆力だけで生き残れる時代ではないでしょう。
ダーウィン先生は、「変化に反応する」ことの重要性は説きましたが、では、どうすれば変化に反応できるかまでは教えてくれませんでした。
もちろん、企業経営の現場、ビジネス展開の現場レベルでどうすべきかなどは、考えも及ばなかったことは当然のことです。
「変化に反応する」ための出発点として、まず、何がどう変化するのかを見きわめることが重要です。つまり、変化の実情把握と変化の予測・予見です。
経営者にとって、真の仕事とは、企業・業種・業界の実態を知ることであり、周辺環境も含めた未来の予見です。
企業経営に限っていえば、自己が属する企業が、5年後、10年後、20年後に生き残るには、今、何をすればよいのかを考えるのが、リーダー、ビジネスマンのトップの仕事のはずです。
多くのビジネス書や経営学のテキストは、原理・原則を述べるだけで、せいぜい業界分析の手法までしか書いていません。
そんななかで、20年程前でしょうか、中前忠氏が書いた「三つの未来-衰退か再生か、日本のシナリオ」という著作に出会いました。ビジネス書ではないのですが、変化を予測・予見し、変化に対応する手法を「シナリオ・プランニング」という技法で解析・分析する画期的な本です。
一国の政治や経済の現状分析や未来予測に役立つだけでなく、企業・業界分析にも有効な分析手法であると理解し、その後の仕事に大いに役立ちました。
シナリオ・プランニングという手法を企業経営の未来予測・予見というレベルで応用するためには以下のような手順を踏むことになります。
<ステップ1> 企業・業界の将来を考える上での関心事、懸念されることの洗い出しと、現在の存立基盤について徹底分析する。
<ステップ2> 企業・業界を支えている複数の存立基盤がどう変化するかを予測し、三つの初期シナリオを作成する。
<ステップ3> 企業・業界の未来に作用する最も重要な力(ドライビングフォース)は何かを炙り出し、その変化を集中的に検討・研究する。
<ステップ4> ドライビングフォースを確定できない場合は、三つの初期シナリオを再三再四検討し、その時点での完成シナリオとして文章化し、不確定要素も文章化して残す。
言葉で表せば、この程度のことですが、実際に取り組めば、数百時間を集中的に投入する作業であり、経営者としての力量が試されるだけでなく、企業存続の絶対必要条件だということが理解できます。
10数年前になりますが、「不動産鑑定業界三つの未来」
(http://www10.plala.or.jp/tika-infre/kanteimituno.html)
「宅建業界三つの未来」(http://www10.plala.or.jp/tika-infre/takkengyokai.html)
をまとめました。
今、読み返しても、役に立つものであり、あの頃、自分はよく頑張っていたなーと、楽しい思い出です。