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前回は不動産仲介業の「哲学」という切り口で、仲介業の経営理念・経営哲学について考えてみました。
今回は、科学という切り口で不動産仲介業について掘り下げてみます。
科学とは、実験できること、実証できること、測定できることを対象にし、その法則を探すことだとされています。
インターネット・ホームページを中心に不動産仲介業を営む業態はネット不動産といわれています。わが社の不動産事業部の営業スタイルはネット不動産そのものです。
ホームページ(私は「ネット店舗」と位置づけています)を通してお客さまとまず出会い、メールを通してお客さまとの理解を深めていく仲介業の新しい試みです。
ホームページ・ネット店舗から物件情報と会社情報を発信し、地域内で不動産を探しているお客さまの「求めているもの」「必要としているもの」を提供することが第一歩です。
しかも、お客さまの心に響き、心に届く言葉で「情報発信」をしなければ、空振り、空廻りに終わってしまいがちです。
このネット不動産にとって一番大切な、ホームページをいかに運営するかということは、実は、かなり難しい問題なのです。
ネット不動産の経営者や担当者は、日夜、このことで頭を悩ませ、ない知恵を絞って考え、試行錯誤を繰り返しているわけです。
幸い、ホームページは、自分の手で改良を加え、修正・追加・削除が自由にできるようになっています。(自社で簡単に修正・追加・削除ができないホームページはホームページ制作会社のカモであり、基本的な設計思想に問題があると考えるべきです)
つまり、自分の頭で考え、工夫したことをホームページ上で実験できるのです。しかも、その結果を翌日、1週間後、1ヶ月後、1年後と、いつでも測定し、知ることができるのです。
ネット店舗の「商品」は物件情報です。この商品の展示方法を替えてみたり、特選品コーナーを設けてみたり、商品を入れ替えたりは日常茶飯事です。
店舗の特徴・独自性を強調するために、会社の理念や姿勢、ブログやコラム、日記・ノート何でも載せることができます。
つまり、経営科学が説く基本サイクル、Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(新たな行動)、PDCAが、日常的に可能となったのです。
これは、すばらしいことではないでしょうか。インターネット・ホームページと不動産仲介業は、非常に相性の良い関係だと、常々考えていましたが、ホームページの運営を通して、不動産仲介業を「科学」することができるようになったのです。
でも、ネット不動産は、まだまだ「揺籃期」です。せいぜい5年、早くから手がけた会社でも10年程度の歴史です。
同業者から学び、お客さまから学び、自分の頭で考え抜いて、さらなる地平を切り拓いていくことが求められているのだと、つくづく思います。
岐阜市に住むKさんから、前回のコラムについての過分なお誉めのメールをいただきましたので、ご紹介します。
高橋様が記された後半の顧客の信頼と共感をいかに獲得するかという実験、実証、測定できるという意味では科学と言えますとの内容に共感を覚えます。
同じ製品を扱い、同じ値段を打ち出しても売れないお店と販売を伸ばしているお店があります。そこには販売戦略を「科学」と捉えることができるかどうかにか かっているようです。何か法則があるのでしょうか?朝8時からお店を開き、夕方は9時過ぎまで営業しても販売金額が伸びないお店(A)。土日休業し、朝9時から5時までしか営業しないが前者の倍の売り上げを達成している同地区のお店(B)など。同じ会社規模でも何故こういう現象が起きるか分析したことがあります。
そこには高橋様のわが社の目標と使命に「法則」が言い尽くされています。
わが社の目標と使命
○ 地域で信頼一番店を目指すこと。
○ 数多くの物件情報を提供し、物件選びのお手伝いをすること。
○ お客さまの取引の安全をサポートし、保障すること。
一番店を目指すための方針を全社員に徹底させているか、製品情報をこまめに提供しているか、得意先が困った時に親身に相談に乗っているかどうかなどが大きなA、B店の相違点でした。
顧客がBを選択する大きな理由は下記の通りでした。扱っていない製品でも問い合わせすれば丁寧に答えてくれどこに行けば入手できるか価格情報まで懇切丁寧に教えてくれた。誠実な担当員が多く、専属の担当がいなくても直ぐに待たせず替わりの人間が対応してくれた。クレ-ムが解決した時、わが事のように喜んでくれた笑顔を思い出すので等々。応対する人間性の違いが大きく販売に影響を与えていたのです。B店の社員教育は顧客中心に重点を置いたものでした。困っている時は手を差し伸べ解決すればわが事のように喜ぶ!なかなかできそうでできないものです。
書いた本人よりも深く考え、分析していただきました。大いに励みになり、参考になりました。ありがとうございます。
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