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先回のコラム「政権運営も試行錯誤」に対して、熱心な読者の一人である菅野さんから、ご自身の体験も含めたメールをいただきました。
ご本人の了解を得て一部をご紹介します。なお、菅野さんは、岐阜市のKさんとして何回かこの欄でメールをご紹介した方です。
『 さて、本音のコラムを拝読させていただきました。
胆をくくって対処・対応するほか途はないという指摘事項と変化を楽しみ、チャレンジできることに感謝する。そんな心の余裕を持ちたいものです。という文章に共鳴いたします。
仕事で胆をくくることは何度もありましたが、本当に死ぬ覚悟でクレームを解決したことを思い出しました。
今から18年前当時はマンション建設ブームに沸いており、当社もマンション建築部材を開発販売し始めました。プラスチック型枠と強化ガラスプラスチック製のバタ材(型枠支持材)です。働く人が軽い材料を希望しており、軽いのでマンション高層へ多量に持ち運ぶことができると評判を呼び九州、関西地区で大幅に売れ始めました。
ところがバタ材(関西地区は角バタ、関東東北は丸バタを使用)の使用についてのクレームがある神戸地区型枠大工店社長からあり、部下と一緒に説明に参上することになりました。
部下から「この社長は背中にtatooを入れており、型枠大工をこぶしでなぐった現場を何回も目撃した怖い方です。一人では行けません」「きっと難癖をつけお金を脅しとろうとするためクレームをつけています。
当社バタ材を使用したらコンクリート壁が部屋内部に曲がってきてその湾曲壁をはつったそうです。その代金を全額負担せいとの要求です。」まず会って部下と社長の言い分を聞いてみようと思いました。一般素人にはその業界人は手を出さないということを知っていましたが、危害を被った時はそのとき考えようと胆をくくり会談に臨みました。
開口一番社長から「お前のところのバタ材は軽いので大工の作業負担を軽減するよう購入したら壁が曲がるようではクレーム品ではないのか?壁を手直し(はつる)するのに200万円余分に遣った。どう補償してくれる」との発言がありました。
私は「もしかしてバタ材とバタ材の間隔を広く開けすぎたのではないか?鉄バタは強度があるのですが、当社バタ材を組み立てる時は60センチ間隔以内とカタログにも書いてるし、施工現場担当者へも必ず注意事項として当社営業員が説明をしてるはずですが。もう一度現場の担当者へ説明があったかどうか確認していただけますか?説明がなかったなら当社の落ち度です」と回答しました。
早速担当者が呼ばれました。当社の営業からもピッチを従来の鉄バタで使用する間隔から短くするよう説明は受けたが、現場作業員への説明を怠ったと返答しました。途端に社長の鉄拳制裁2発、足蹴り1発でその現場担当者は倒れこみました。
「菅野さん、申し訳ない。現場作業員は老齢なので少しでも負担を軽くしてやろうと考えたのに。お宅の担当から作業手順を聞いてたのにもかかわらず、クレームだと抜かしやがった。俺に恥をかがせやがって。」と倒れ伏した人間をさらに蹴ろうとするので「待ってください。当社の担当者も説明したのですが、施工現場に立ち会うというサービスをしなかったのはこちらにも落ち度があります。これ以上この方を責めないでください」と説得しました。
それ以来、この社長とは縁が繋がり、当社製品を一番多く使用していただく型枠大工店になりました。クレームを怖がり、暴力を恐れ警備員同行で説明しに行ったらこのような関係には結びつかなかったことでしょう。高橋様の言及する通り胆をくくって対処・対応するほかに途はないのです。将来先が見えないなど恐れるのは杞憂へとつながります。
何があっても命までは盗られないと肝に銘じ、自分の思いを実行することこそ成功への一歩に通ずると断ずる次第です。
ところで、この社長さんも神戸大地震で亡くなってしまいました。経営していた大工店も店をたたんでしまい現在その住所には高層マンションが建っています。この社長は古い民家を改造した家に住んでいましたがあの地震には耐え切れず、ご夫婦とも亡くなってしまいました。こんな経験からも一戸建てには不安を持ってしまい終の棲家はマンションと考えていました。
長々とコメントというよりは経験談を語ってるようで済みません。
昼休みに書き終えましたが、午後一番客があり今帰りました。
推敲して送ります。 』
U・N化成(株)にお勤めの菅野さんは、38年の会社勤めを終え、この6月に福島に戻る予定の方です。当社がお世話をして、福島市中心部のマンションを購入されました。
社員を育てる、営業マンを育てる仕事を永くやってこられた方で、その真髄は「誉めて育てる」ことだとうかがいました。私どもも教えられることが多々あった方です。心から感謝しています。
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