[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
原発事故後5年半、多くの被災者・被害者の方から相談を受けてきました。
主として、東京電力が提示した建物や宅地、農地・山林・立木の損害賠償額が実態より著しく低いので、専門家の目で見なおして欲しいとの相談です。
悪名高き、日本原子力ムラの盟主である東京電力を相手に異議を申し立て、被災者の立場に徹して損害賠償額の評価・算定を行うわけですから、不動産鑑定士のなかでは、腰が引けて、依頼を受けないケースが多いようです。
福島県内の不動産鑑定事務所を数カ所訪ねて相談したが、結局断られた人が、人づてに聞いて、当事務所を訪ねてくる被災者が少なくありません。
大部分は、「事実を並べて道理を説く」立場に徹した鑑定評価額で、東電との直接交渉やADRの仲裁で解決しましたが、収益性の高い果樹畑や丹精込めて育てたスギやヒノキの賠償額をめぐっては、東京電力側は受け入れを渋っています。
この5年余の原発事故賠償に関連した仕事の中で、小高・浪江・大熊等の被災地に住んでいた果樹園経営者や林業家とお付き合いをしてきました。
いずれも70代の後半で、農家の長男という立場から、地元の農業高校を卒業し、家業を継いだ方々です。
会って話をしたり、電話や手紙でヤリトリをしたりという関係が5年も続くと、今では、友人以上の親しい関係となっている人も少なくありません。
できることなら、大学に進み、世の中をもっと広く知り、深く学びたかった・・・。そんな思いを胸の奥に秘め、農業や林業に精を出しながら、「青年団」活動等に励んだ「昔話」もよくします。
大学に進学したからといって、世の中が広く見えるわけでもないし、深く分かるわけでもないし・・・と、私なりの解説をしたりして楽しんでいます。
肝心なことは、学校レベルで学ぶことではなく、世の中に出てから、現実に目をそらすことなく、苦しくとも逃げずに現実に立ち向かう姿勢と勇気ではないでしょうか。
原発事故をキッカケに知り合い、同じ目標に向かって行動を共にする多くの「同志」「戦友」を得ることができました。
「同志・戦友」に共通しているのは、永年の風雪に耐え鍛えられ、立派な風貌を備えた人格者だということです。
「風雪は男を磨く」というと「人生劇場」レベルのように聞こえますが、原発事故という厳しい現実、風雪よりもずっと厳しい試練が「同志・戦友」たちを磨いてくれたに違いありません。