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そもそも、不動産仲介業とはどんな仕事なのでしょうか?大きく分けて、土地や建物、アパートなどの売買取引や賃貸取引を仲介するのが主な仕事です。
それに加えて、分譲マンションや建売住宅、分譲地などについて、売り主から依頼されて販売を代行する、いわゆる「販売代理」という業務を含めて、不動産流通業という場合もあります。
いずれにせよ、高額な買い物である不動産の取引・仲介に関わる、大変重要な場面でお客さまのお手伝いをするという、大変重い責任のあるサービス業だといえます。
サービス業の品質管理は、製造業の品質管理に比べて、品質の差が見えにくく、品質管理の手法も遅れている業界のようです。
特に不動産仲介サービスは、買い主・借り主としてのお客さまにとっては、生涯に一度か二度ぐらいの買い物であり、「買い物体験の蓄積」ができない業種だといえます。
これを仲介業者の側から見れば、お客さまの大部分はいわば「初体験」であり、物件のことも、業界の内情もよく分からない「初心者」と見えるわけです。
さらに悪いことには、お客さまの大部分は、同じ店舗(業者)にくり返し立ち寄るリピーターでもないわけです。
こんな業界事情、サービス業としての特殊事情があるせいでしょうか。仲介業者側に、サービス業としての品質管理を向上させ、お客さまの満足度を向上させるという意識が、他の業種と比較して乏しいと強く感じます。
目の前のお客さまに、目の前の物件で、なるべく早く決めさせる!・・・といった営業スタイルが少なくありません。
お客さまが、一生一度の高額な買い物に際して、迷ったり、悩んだりするのはあたり前のことです。
じっくり時間をかけて、お客さまが納得するまで、物件の良し悪しや、ローンを組む際のリスク、周辺環境の変化や物件価格の将来見とおし等について説明するのが仲介サービスの価値であり、その価値をいかに高めるかが、不動産仲介業の品質管理ではないでしょうか。
首都圏不動産公正取引協議会の調査によると、インターネットによる不動産広告の重大な違反が増えているのだそうです。その多くが「おとり広告」と「不当表示」だということです。
賃貸のおとり広告とは、実際には借りられない物件を広告することで、次の3つのタイプがあります。
1)実際には存在しない、架空物件を広告するもの
2)契約済みで借りられない物件を広告するもの
3)そもそも貸す意思のない(借りられない)物件を広告するもの
相場より安いなどの魅力的な物件を見せたり、多くの物件数をみせたりすることで、ユーザーからの反響を得て一人でも多くの人を店舗に誘導したいというのが理由です。広告の物件について知りたくて店舗に行ったら、「たった今借り手がついてしまった」とか、「その物件にはちょっと欠点がある」などと見えすいた言い訳をして、別の物件を紹介するというのが典型的な手口です。
なかには、契約済みになったのに広告を削除することを忘れているという場合もあるようですが、契約済みと知っていて継続して広告を出している場合も多いようです。ほかの不動産会社にばれないように、物件情報の一部、例えば面積や築年数、さらには賃料を変えたりして、架空物件として出し続ける場合もあるやに聞いています。
これは競争の激しい首都圏に多く見られる現象であって、地方都市ではこんなズルをする仲介業者はもういないと信じています。
福島市に限らず、郡山・二本松・須賀川でも、今は、アパート・マンション・戸建すべてが空室待ちの状態です。
原発被災地の方々が避難して来て、借り上げ住宅に住んでいることに加えて、除染作業に従事する方々も多くが中通りに住んでいるからです。
こんな事情を反映して、賃貸仲介を専門としていた業者は、仕事にならなくて、文字通り「商売上がったり」です。
挑戦と応戦の違いについて、かつて、考えたことがあります。
日本語ニュアンスでは、挑戦という言葉には、外部から挑む、他に向かって仕掛ける、敵対行動をとるといった意味が強く、通常はそんな使われ方が多いわけです。
応戦という言葉のニュアンスはより直截的で、挑戦に応じる、反撃する、といった軍事的な意味が強くこめられているようです。
ところが、よく調べてみると、挑戦という言葉には、人間の攻撃的行動だけでなく、時代の変化や技術の変化、あるいは気候変動・自然災害や病(病原菌からの挑戦)やストレスなど幅広い現象も含む言葉として、世界では使われていることが分かりました。
応戦という言葉にも、当初は軍事的意味が強かったようですが、現代社会では、上記の挑戦に対して、当方もしっかりと対応・応答する、つまり、時代の変化等々の「挑戦」の内容と特徴をよく研究し、対応の戦術・戦略を練り上げることこそが真の「応戦」であるという意味が強く含まれるようになってきました。
「挑戦」と「応戦」(challenge and response)という言葉を対比して使ったのは、恐らくイギリスの歴史学者トインビ博士が始めてだったと思われますが、その後、歴史だけでなく、社会学や経営学でも使われる概念となったようです。
英和辞典で調べてみました。
「挑戦」 ・・・challenge
「応戦」 ・・・fight back
・・・return (the enemy's) fire
・・・accept the challenge
といった解説で、いずれも軍事用語の域を出ていません。
私自身も「挑戦と応戦」という切り口でものごとを分析することに強い関心を持ち、2年ほど前に書き終えたネット不動産フロンティアノート(NO.11-4)http://www.takakan.co.jp/netfudosan/frontier53.htmlで以下の記述をしています。
今、世界経済はグローバリゼーションとインターネット革命という大変動期を迎えています。幸い、ドメスティック産業(国内限定業種)の代表格であるわが国の不動産仲介業は、国際化という荒波の影響は直接的には受けていません。
しかし、インターネット革命という時代の大潮流、世の中の大変革に直面し、仲介業者はその営業戦略を根本から変化させていかざるを得ない立場に立たされています。
好きとか嫌いの話ではなく、得意とか不得意のレベルでもありません。時代が、世の中が、情報発信・受信の手段が、インターネット中心に根本から変わったのです。この認識を誤り、従来の集客手法にこだわり、インターネット時代にふさわしい営業スタイルを生み出せない仲介業者は、10年後には確実に淘汰され、世の中から消えていくことでしょう。
戦略的な用語でいえば、不動産仲介業はインターネット革命という外部からの挑戦を受けている真っ最中です。この挑戦に対して、真正面から受けとめて「応戦」する気概・勇気を持たない業者は戦場から消える運命にあるわけです。
今、読み返してみても、不動産仲介業界に限っていえば、その通りだと思います。
今後は、もう少し視野を広げて、わが国が置かれた現状について、挑戦と応戦という視点から考えを進めていくつもりです。
3.11は自然がわが国民に与えた試練であり、見方を変えれば、天が大震災という自然現象を通して、わが国に対して挑戦してきたともいえます。
この挑戦に対して、国として、民族として、どう応戦するかが試されているのではないでしょうか。
安易な道を選ぶのか、試練の道を進むのか、国の指導部も含めて、真価が問われているとつくづく思います。