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鳥や昆虫、ビーバーなどの一部の動物たちが“巣づくり”をすることはよく知られています。
 
 人間にとって“住宅取得”は巣づくりのようなものではないかと、かなり昔から考えていました。学校を卒業すれば、大抵の人は親元から巣立ちます。最初は賃貸住宅に住むわけですが、子育ての時期を迎えると“巣づくり”が気になりはじめるのではないでしょうか。
 
 鳥たちの巣づくりは、エサ場に近いこと、雨風をしのげて安全であることなどを優先順位として場所を選ぶようです。人間も同じように職場に近いこと、自然環境に恵まれ、安全な地域であることが優先されます。しかし、「社会的動物」である人間は、通学、通院、買い物、などの生活上の利便性もまた、大切な巣づり場所の選定基準となります。特に、高齢者世帯の場合は、中心部の生活利便性の優れた場所でなければ、生活そのものが成り立ちにくい状況になりつつあります。
 
 鳥の巣づくりは、主として子育てが目的だといわれています。広さ、素材、場所も子育てに適していることが大前提となっています。しかも、鳥たちは、自分の手(くちばし)で巣を作ってしまいます。子育てが終われば、その巣は放棄され、親子それぞれが別の世界(地域)に飛び立つわけです。
 
 人間の場合は、そうはいきません。なにせ、年収の4~5年分、生涯所得の10分の1は巣づくり=住宅取得に支払うわけですから、一生その家、その場所に住むという前提で巣づくりをするわけです。
 
 私の巣づくりの体験はこうです。
 
 福島に職を得て、相馬から引っ越してきたのが29才の時でした。すでに子供が2人いたので、笹谷の市営住宅に優先入居できました。すごーく嬉しかったことを今でも覚えています。3年ほどして、同じ笹谷内で住宅供給公社が建売分譲住宅を売り出したので購入しました。土地70坪、木造平家建て22坪、総額210万円、30数年前の話です。
 
 今は、3人の子供たちも独立し、家も増改築をしたので40坪の2階建住宅に夫婦2人で住んでいます。部屋は7部屋ありますが、使っているのは3~4室だけです。私にも動物としての「巣づくりDNA」があるらしく、欧米の山荘などによく使われている「カナディアン、レッドシーダー」で外壁を補強したり、桧の間伐材で内装を直したりして楽しんでいます。
 
120世帯ほどの団地ですが、すでに2~3割の住人が替わっています。蓬莱団地の高齢化は有名ですが、笹谷の団地も傾向は同じです。高齢者が住む、子育てに適した広い住宅を、若い子育て世代に背伸びをしなくとも手の届く値段で提供する。同じ福島盆地に住み、広すぎる住宅を持て余している高齢者と子育てのために余裕のある住宅を取得したいと考えている子育て世代の相互の利益は一致し、共通する面は多いはずです。
 
 縁あって福島盆地に住んでいる皆様の“巣づくり”、“巣さがし”のお手伝いをすることは、わが社の仕事の大きな柱の一つと考えています。
 
 「自然界から学ぶ『動物たちの土木建築学』」(鹿島)から教えられることが多くありました。
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80才代、なかには90才を超えたお年寄りからの住宅に関する相談が増えています。元気なうちに今住んでいる住宅を処分して、中心部のマンションに住み替えたい、あるいは老後の資金に充てたいというものです。なかには、子供と同居するために首都圏に転居する、あるいは一人暮らしが無理になったので老人ホームに入居することになったといった理由もあります。これは、福島市に限ったことではなく、日本全国でも見られる現象ですし、世界的傾向でもあるようです。
 EUとして経済統合を果たしたヨーロッパでは、高齢者がスペインやイタリアなど暖かな地域の住宅を買う傾向が強まっているそうです。為替リスクがないので、ドイツやフランスからの買いが多いといわれています。
 21世紀になってからの8年のあいだに、世界的に住宅価格は大きく上昇しました。サブプライムローン問題の背景には、米国の住宅価格は長期にわたって上昇するはずだという「住宅神話」がありました。世界的なカネ余り現象を反映してフランス2.5倍、イタリア2.5倍、スペイン2.8倍、豪州2.6倍が8年間の「平均上昇倍率」です。あくまでも「平均値」ですから、人口と投資が増える地域とそうでない地域で、上昇率は大きく異なります。
 幸い、わが国の場合は92年から始まった不動産バブル崩壊の教訓が活きていたために、世界的な住宅バブルに巻きこまれることはなかったし、サブプライムローン関連証券を買った金融機関は少なかったようです。わが国の場合、高齢化と人口減少が同時進行することがはっきりしています。郊外の広い家に住むお年寄りが、買い物や通院に便利な中心部に移り住む。その郊外の広い住宅を子育て世代の若者家族が譲り受けるなり、借り受けるなりして、経済的にも、住居の広さという面でも余裕を持って子育てを楽しむ、そんな住宅の「好循環」がこれから多くなるのではないでしょうか。
 仕事がら、市内の中古住宅を数多く見てきました。量だけそろえる、数だけ増やすという住宅建築の粗製乱造期に建てられた住宅は別として、昭和50年代の末から平成にかけての建築はしっかりしたものが数多くあります。特に福島市の場合、退職前後の公務員や金融機関のOBが建てた住宅が、今、住人の高齢化により、転機を迎えています。退職金を原資として余裕のある資金で建てた住宅は、使用建材も施工もしっかりしたものが大部分です。これらの築20年~30年の中古住宅が土地価格に若干上乗せした価格で流通市場に出てくるのです。
 環境に優しく、資源の有効活用に役立つ、しかも価格も決して高くない。こんな三拍子そろった住宅について、国も個人もわれわれ不動産仲介業者も本格的に取り組むべき時代になっていると強く思う、今日このごろです。
3ヶ月程前のコラムでも同じテーマで、主として不動産の「物件情報」をめぐる格差について書きました。
インターネットが家庭にまで普及し、仲介業者がホームページ上で物件情報を積極的に公開するようになったために、物件情報の量という面では、お客様と不動産業者の間に格差はなくなりつつあるといえます。場合によっては、お客様の方が特定の地域に関しては業者よりも多くの情報を手に入れ詳しいというケースもみられます。それはそれとして、喜ばしい現象だと思っています。
 一生に一度の高額な買い物をするわけですから、多くの物件情報を入手し、現地を確かめ、建物の場合は内部の詳細を自分の目で確認することが、不動産購入の第一歩であり、最も大切なことと思うからです。
 インターネットが普及し、お客様が物件情報を容易に、大量に入手可能な時代がくると、不動産の仲介業者、特に買い手側の仲介業者(業界用語で「客坦」といいます)は必要がなくなるのではないかという議論がかつてありました。
 一言でいえば、情報格差解消=(イコール)「客坦」業者不要・消滅論といった議論でした。たしかに、物件情報を単に右から左に流すだけの仲介業者は世の中からその存在意義を問われ、存立基盤を失いつつあるのも現実だし、今後その傾向は一層強くなると予想しています。
 一方で、不動産購入に際しての「経験格差」というものが厳しく存在するというのもまた現実です。プロとして売買仲介を20年~30年経験し、物件の良し悪しから、取引をめぐる事故、トラブルまで多くを体験してきた仲介業者と、一生一度の初体験のお客様とでは「経験格差」がありすぎます。
 仲介業者の中には、この格差を利用(悪用?)してお客様を「あおったり」、追い込んだりする営業スタイルの人も見うけられます。いずれにせよ、その道のプロである仲介業者と初体験であるお客様の間には、大きな「経験格差」があることは厳然たる現実です。
 お客様がこの「経験格差」に対応するには三つの手法があるのではないでしょうか。
① お客様自身が多くの物件を実地に見て、多くの人の話を聞き、「不動産購入の初歩」といった文献や資料を精読し、プロに負けないぐらいの知識を身につける道です。
 
② 買い主の立場に立って、プロとしての知識と経験を役立ててくれる仲介業者を選び出し、その業者の知識と経験を積極的に利用・活用する手法です。この場合、業者の選定がポイントになることは云うまでもありません。
 
第三の手法は、①と②を併用する道です。物件選びから始まって、契約、引渡し、引っ越しに至る過程は「初体験」で、多少の不安はありながらも、本来は「夢」と結びつけながら家族全員参加型の一生一度の「楽しいイベント」だと思います。このお客様が家族と共に進めるイベント、物件購入プロジェクトチームにお手伝い役として参加させていただくことが仲介業者の役割だと思っています。
 私事ですが、30年前に所属していた地元のサッカーチームの横断幕には「走りぬけ!チームのために」と大書きされていました。今でもその言葉を思い出すと心が躍ります。わが社のモットーは「がんばりぬけ!お客様のために」です。
このコラムも33回を超えましたが、少しでもお客様の物件購入に際してのお役に立てればとの思いで続けているものです。プロとの経験格差を完全に埋めることはできませんが、プロの仲介業者をチームに引き入れることで、知識と経験を生かし、納得のいく、満足感のある「物件取得」は可能です。
 「走りぬけ!チームのために」
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高橋雄三
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不動産鑑定士
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