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福島商工会議所の会報誌「ふくしま」7月号に「5年後、10年後の不動産マーケット」というテーマで不動産コラムを書きました。
 
商工会議所様のご了解を得て、転載いたします。ご笑覧下さい。
 
 
       「5年後、10年後の不動産マーケット」
                             不動産鑑定士 高橋雄三
 
 経済の先行きは、不透明な時代が続いています。平成に入って間もなく、土地価格は下落を始め、福島市では20年間下がり続けています。いつになったら、底値が見え、上昇に転ずるのでしょうか。
 
25年前、福島駅東口の一等地に立地するビルの再開発のお手伝いをしました。その頃、駅前は1,000万円/坪でした。今は100万円/坪弱です。
地価も株価も10分の1まで下げると底値だと言われます。福島の商業地は、ほぼ底値に近い感じです。住宅地は、高値の時に較べて半値程度でしょうか。「底値10分の1」論からするとまだ下がりそうです。
 
仕事柄、土地はいつから、どんなきっかけで上昇に転ずるかと質問されることが多々あります。株でも土地でも、いつから、どのくらい上がるか分かれば、誰でも大金持ちになれます。所詮無理な注文です。
    
しかし、地価を予測する手がかりはあります。主な手がかりは、経済の見通し、人口の増減予測、地域活性化との関連です。経済の先行きについては、悲観論、楽観論、まあまあ論と様々ですが、この20年来、楽観論は当たった試しがありません。極端な悲観論者ではありませんが、GDPの2倍に達する国債発行額が、財政破綻をもたらし、インフレに結びつくというシナリオは否定できません。一般論としては、土地や株式はインフレヘッジ商品として有効だとされています。現に、当面の利益獲得(インカムゲイン)と将来のインフレヘッジ(キャピタルゲイン)として収益不動産(アパート・マンション・オフィスビル)を買う動きは水面下でかなりあるようです。
 
福島市の人口はジリジリと減少すると見るのが正解でしょう。県全体の人口が減る中で福島の人口だけが増えるとは考えにくいからです。地域の活性化予測、ビジネスチャンスの多い地域の見つけ方は一番の難問です。しかし、国の経済が弱体化し、福島市の人口が減少しても、地域や業種によっては、そのことをビジネスチャンスととらえて、新しいビジネスや活気のある地域・店舗・企業が生まれてくるのがこの世の面白いところではないでしょうか。住宅産業、特に中古住宅流通の活性化が、日本経済再生のカギを握っていると言われます。内需振興の柱として期待されているからです。消費税10%が現実になれば、消費税のない中古住宅の個人間取引に、強い追い風になるでしょう。
 
福島に住んで40年余りになりますが、年々この町が好きになってきます。適度に距離を保った人間関係、自然の美しさと恵みの多さ、教育・医療水準の高さ、すべて満点に近い満足感です。これからの方向としては、子育て支援と老後も安心して住める街づくりを進めることで、福島盆地の魅力を一層高めることができます。都市間競争に勝つカギは、都市としての魅力、住む人にとっての満足感をどれだけ強くするかです。日本一、地震リスクの小さい都市だということはもっとPRすべきでしょう。
 
5年後、10年後の福島の土地価格を決めるのは、どれだけ多くの人に、日本中の各地に住む人々に福島の魅力をアピールできるかで決まるのではないでしょうか。
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東京都内でホテル・旅館の再生・仲介ビジネスを専門に手がけている知り合いの仲介業者から問い合わせのメールが来ました。

 

盛岡市内のビジネスホテルが売りに出そうなので、力を貸して欲しいとのことです。

 

営業中のホテルなので、従業員やお客さまに秘密裡に話を進めなければなりません。

 

土地や建物の調査や評価は、当事務所の得意な分野なので、全面的に協力できますが、細部の調査や交渉はどうしても地元の仲介業者の協力が必要になります。

 

仙台方面は、(財)日本不動産研究所仙台支所に5年程在籍していたので、知り合いの仲介業者も何社かありますが、盛岡市内は全く手がかりがありません。

 

東京で仕事をしている人にとっては、東北方面は、福島も仙台も盛岡も、隣の都市ぐらいに思われるかもしれませんが、盛岡市と福島では仕事上の付き合いはほとんどないのが実情です。

 

信頼のできる仲介業者を紹介して欲しいとのことですが、直接の手がかりがなく、困ってしまいました。

 

そこで、フト思い付きました。日頃から、お客さまはインターネットとホームページを利用して、物件探しと信用できそうな仲介業者探しをしていると説いている自分自身で、実行してみたらいいのではということです。

 

早速、「盛岡市・不動産」というキーワードを検索エンジンに入力してみました。

 

不動産業のポータルサイト(総合窓口)や、フランチャイズチェーンのホームページが上位に表示されていますが、特に会社の「信頼情報」は載っていません。

 

上位10社のうち、独自のホームページが表示されたのは4社でしたので、その4社のホームページを詳しく見させてもらいました。

 

会社案内に、創業の理念を掲げ、社長以下スタッフ全員の紹介欄があり、社長のブログが載っているのは1社だけでした。

 

社長ブログのバッグナンバーを約1年分読ませてもらいました。

 

仕事上の出来事や地域のイベントについて、感じた事や思った事をありのままに述べた好感の持てる文章です。

 

常々、コラムやブログが大切だと説いている自分が体験してみて、その大切さを改めて認識しました。

 

お客さまは、ホームページを通して、信用に値する会社も探しているし、ホームページを詳しく見れば、必ず手懸かりは得られるということがよく分かりました。

 

近々、その会社の社長とお会いして、このプロジェクトについての協力をお願いするつもりです。

 

インターネットとホームページの便利さ、ありがたさを実感できた貴重な体験でした。
 

10年程前に、不動産の売買仲介業の現状と問題点について本格的に調べたことがあります。

 

買い物をする際に、商品の説明をしてくれたり、代金の支払いの手伝い、場合によって値段を下げる交渉をしてくれたりする店員(不動産の場合は仲介業者)に料金(仲介手数料)を支払うというシステムがよく理解できなかったことが動機の一つでした。

 

宅建協会伊達支部の新年会に招かれ、不動産仲介業の未来像についてのセミナーを依頼されたことも契機でした。

 

丁度、インターネットが本格的に普及しはじめた時期でもあり、「インターネットは中間業者の地位を脅かす」のではないかという議論が盛り上がっていました。

 

ビジネスでの利用という側面からインターネットを定義づけると、中継機能の排除、つまり中継機能・仲介機能にとってかわる存在だと強調されていました。

 

B(ビジネス)to Bとしての中間流通業者は排除され、存立基盤を失うとまで言われたものです。

 

不動産仲介業は、典型的な中間流通業です。しかし、B to Bではなく、大部分がC(コンシューマー)to Cのビジネスです。

 

家や土地を売りたい人は、インターネット上に売り物件の情報を発信すればよい。買いたい人はインターネットでその情報を探し出し、直接、当事者どうしで交渉をすれば、仲介業者など不要だし、手数料もかからないといった議論でした。

 

その後の10年間の推移を振り返ってみると、仲介業界もお客さまも、大きく変わった面と基本的に変わらない面があります。

 

インターネットの利用という点では大きく変わりました。

 

まず、仲介業者の大部分はインターネット・ホームページで物件情報をお客さまに知らせる方式を採用するようになりました。広告チラシの配布は情報量も少なく、経費的にも無理だからです。

 

お客さまも、インターネットを利用すれば、自分の希望する地域、種別、価格の物件情報をいくらでも入手できるようになりました。

 

しかも、物件情報だけでなく、その会社のホームページをよくチェックすれば、会社の営業姿勢、経営者の理念、営業マンの人柄まで分かるようになったのです。

 

10年前の予測よりも、機能としても内容としても大きく進んでいます。

 

しかし、変わらなかったこともあります。

 

インターネットがこれだけ普及しても、仲介業者の役割が不要になったり、減少しなかったことです。

 

でも、その中味、仲介業者の役割は大きく変わりました。

 

物件情報の発信機能は相対的にその役割が低下し、代わって、お客さまの取引の安全・安心をサポートする会社がここにありますよという「信頼醸成」機能が重要になったということです。

 

お客さまの立場になって考えてみればすぐに分かることですが、一生に一度か二度の高額の買い物をするのですから、物件の選択と同じように、信頼できる会社選び・営業マン選びは大切なことです。

 

インターネットの普及は仲介業者の役割を低下させ、排除するのではなく、むしろ、その役割の重要性を浮かび上がらせたといえるのではないでしょうか。
 

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プロフィール
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高橋雄三
性別:
男性
職業:
不動産鑑定士
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